評価委員

評価委員からの声

企業の枠をこえて社会に貢献

鈴木忍先生
京都大学大学院医学研究科
「医学領域」産学連携推進機構
(KUMBL) 特定教授

アカデミアでの研究活動に10年程従事した後に、外資系の製薬企業での15年近い勤務経験を経て、2019年より京都大学の現在の部署に移りました。製薬企業時代からほぼ一貫して、アカデミアの研究シーズを探して育てるという、産学連携の仕事に従事してきました。AMEDの課題評価委員としては、新しいテーマを採択するかどうかに関する評価と、すでに走っているプログラムをさらに先に進めるかどうかという評価の、両方の段階における評価を担当しています。

企業評価委員の役目として、私は、その提案が企業側の戦略に合っているかどうか、またパイプラインに乗せられそうかどうか、といった観点からも評価します。研究シーズの目新しさや面白さだけでは、実用化への課題が解決できずに、最終的な出口の段階でつまずいてしまうからです。アカデミア出身の評価委員からは、新しさや面白さを重要視する意見が出ることも多いと感じています。その結果、評価委員会では、評価が分かれることも多くあります。両者の意見の調整は簡単ではない一方、最も重要です。そうしたときには非常に科学的かつ論理的な議論がなされます。私は、企業出身の評価委員としてまだ日が浅いのですが、想像していた以上に俯瞰的視野を持って核心的かつ綿密な議論が行われることを素晴らしいと感じています。

実用化という点の評価についてですが、大方の企業ではなかなか実現できないものの、ある一部の企業やNPO組織でならば実現可能といったプロジェクトがありえます。例えば、稀少疾患の創薬などがそれに当てはまるのではないかと思うのですが、そのような社会的に意義のある事業に、AMEDの事業へのサポートを通じて、企業評価委員として貢献できるという経験は、私自身にとっても、大変やりがいを感じることのできる貴重な体験です。

評価対象の資料を査読する期間や委員会の日程などについてはあらかじめ連絡をいただけるので、企業評価委員として、特に困ったといった経験はありません。確かに資料に目を通さなくてはなりませんが、医学の最先端の研究に関する提案は、いずれも内容的に非常に興味深いものです。自分にとって異分野の課題などは、資料査読に時間がかかり、評価も難しいのですが、さまざまな分野のさまざまな内容を学ぶ機会にもなります。そうした経験は、評価委員に必要な、広い視野が培われていくことにもつながると感じています。