評価委員

評価委員からの声

アカデミア発の創薬をサポート

谷田清一先生
公益財団法人京都高度技術研究所 地域産業活性化本部
京都市ライフイノベーション創出支援センター アドバイザー
プログラムオフィサー(PO)(医療分野研究成果展開事業 産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M))

AMEDで採択されたACT-Mの研究開発課題に対しては、担当のプログラムオフィサー(PO)が一人配置されます。その役割は何かというと、課題の舵取りだと思っています。つまり、課題の方向性を認識しつつ、その課題解決を前進させるために知恵を出して協力する推進役ということです。当然、評価委員とは異なる立場になりますね。課題を進める側の、いわば味方になるのが仕事だと思っています。担当する課題が増えると、作業が重なって大変なこともありますが、苦にはなりません。課題は興味深いものばかりですから、楽しいですね。

POの仕事のやり方にはいろいろあると思いますが、私は、資料を読むだけでなく、サイトビジット(現地視察)も重視しています。研究代表者に加え、参加している研究者ひとりひとりの生の声を聞き、議論することができますし、資料を読むだけでは気づくことのできなかった重要な発見をすることもあります。その発見を反映することにより、課題の秘めている可能性を最大限に活かすようなアドバイスができたりするのです。新型コロナ禍の現在は、オンラインでのサイトビジットになりますが、それでもやはり欠かすことはできません。

また、サイトビジットでは、研究チームの若い研究者に会うこともできます。例えば、私が新規性の高い研究や発見に言及したときに、「それは私が行ったものです」と言ってくれる若い研究者がいたりしますが、このようなとき、私の言葉がその人にとても大きな刺激を与えているのだということを実感でき、こちらも誇らしい気持ちになり、また刺激となります。

POや企業評価委員を務めるうえで気をつけていることといえば、自分の出身企業での経験だけにとらわれず、広い視野をもって、物事を俯瞰的に捉えるように努力することでしょうか。各企業にはそれぞれ独自の文化があるものですが、私は定年を迎えるまで、製薬企業でずっと創薬に携わってきて、各社がどのような文化を持つのかは、おおよそつかんでいました。その経験から、POや評価委員として働くときには、自分の出身企業の文化を離れて、日本の製薬業界全体を視野に置いて判断するように努めています。

世界では創薬に乗り出す国々が増えています。そうしたなかで、これまで創薬先進国の一員として創薬に励んできた日本が、これからも創薬で世界と戦い続けるためには、アカデミア発の技術を活かすことが必須です。少し前までは、アカデミア発のシーズを育てて製薬企業に移すというシステムが日本では弱かったのですが、それが今はかなり改善されてきました。アカデミアのシーズをしっかり実らせる、その一翼をAMEDのACT-Mも担っているのだと考えています。

AMEDにおける課題評価の仕事に携わることによって、日本の創薬が何を求められ、どのように進んで行こうとしているのか、高い視点に立って眺めわたすことができるでしょう。世界で競い合う人たちにとっては、とても貴重な体験となるに違いありません。